ジャガー EーType のフロントサスペンション、ロアーボールジョイントのダストカバー交換 [ Eタイプ シャシー修理]
昨年8月頃にジャガー Eタイプのフロントサスペンションのロアーボールジョイントのダストカバーが割れていることが判明。 下写真は左の状況ですが、左右共全く同じ状況でした。
尚、今回のボールジョイントは下写真の様な位置で、左右勝手違いの構造です。
昨年10月に題記ボールジョイントのダストカバーを交換しようと、タイヤを外し、ロワーボールジョイントのテーパー部分を外そうと試みました。
右側はボールジョイントのナット部分を上からハンマーリングした所簡単に外れ、ダストカバーの交換が出来ました。 が、左はびくともせず、この車のレストアをしていた時の事を思い出し、大修理になる事が予想されました。
まずは昨年10月に行った右側のダストカバー交換です。
車をジャッキアップし、タイヤを外し、ロワーボールジョイントのナットを弛めます。
この時のナットは数回転位弛め、ナットを上からハンマーリングしボールジョイントのテーパーを外しました。
ナットを外してからのテーパー外しは重いハブアッセンブリー等が落下し、又スプリングでリンクが強く弾かれる事も有り危険です。ナットは外さず数回転弛めた所での作業とします。
テーパーが外れた所で、劣化したダストカバーを外し、新しいダストカバーを組み付けました。 尚、ダストカバーの固定方法は1.2mmのステンレスワイヤーを二重巻きにしました。
(ジャガーの正規はリングクリップでダストカバーを固定しますが、これでは乗っている間に外れてしまいました。)
ダストカバー外れの記事は左記 https://hisashi1946.blog.ss-blog.jp/2011-07-22
昨年10月にテーパー部分が外れず作業が出来なかった左側は、過去にも問題がありました。
最初は車全体のレストアの時の分解作業で左側のみテーパー部分が外れず、電動サンダーで切断し、プレス機械で外しました。 2度目は2014年で、やはりダストカバーの交換の為外そうと試みましたが 左側のみ外れず、下写真のクサビ形の治具を購入し、ロアーリンクとナックルスピンドルの間に差し込みクサビをたたき込み何とか外しました。
2014年のボールジョイントダストカバ交換作業の記事
https://hisashi1946.blog.ss-blog.jp/2014-05-06
下写真が2014年に購入したクサビ形ボールジョイントリムーバーと以前から購入してあったねじ式のリムーバーです。
今回も左側のみ外れず、上記の様な経験から最悪の予想はボールジョイントのテーパー部分を切断、ロアーリンクに喰い付いたボールジョイントの一部を、以前働いていた会社にお願いし10トンの万能試験機で外して頂こうと言う物。 その為にはロアーリンクをも外す事になり大掛かりな作業となります。
そこでまず、ホイールを外し、ディスクブレーキ(下写真の黄色矢印)を外し、フロントハブやブレーキロター(空色矢印)を外し、ボールジョイントの割れたダストカバーを取り除きました。
で、ボールジョイントのテーパー部分が良く見える状態になった為、下写真の空色矢印の所にクサビ形を入れハンマーリングしましたがびくともしませんでした。
(2014年にはこの状態でクサビ形の治具で外れました。)
と言う事で、本当に切断し、万能試験機で抜く事を決断。
その為には、ロワーリンクを外す必要があり、ロワーリンクを外すにはトーションバーを外す必要があり、トーションバーを外すにはエギゾーストマフラーのフロントパイプをと多くの普段外す事のない部品を次々と外していきます。
エギゾーストマフラーのフロントパイプを外しました。
次にロアーリンクにセレーションで嵌合しているスタビライザーを外す為、スタビライザーのアンカー(ピンク矢印)を外し、
次に、ボールジョイントのテーパー部を切断する為、グラインダーの入れられるスペースを出来る限り広くとろうとステアリングのサイドロッド(ピンク矢印)をも外しました。
で、ついにボールジョイントのテーパー部を切断してしまいました。
そして、ロアーリンクに喰い付いているボールジョイントのテーパー部をもう一度ネジ式のボールジョイントリムーバーで外して見ようと下右写真の様に試してみました。
外れちゃいました!!!
たったこれだけの部分を外そうと「本当に外れるのだろうか!? 外れなかったらどうしよう!」 と不安を抱え、悩み、多くの部品を外してきました。
と言う事で、以前働いていた会社の友人に
「外れたよ! 万能試験機は使わなくてすんだよ!」と報告した所、
彼曰く「残念! 俺の出番を無くしてくれたんだ!!!」 だそうです。
で、下写真の様に切断してしまったボールジョイントを分解し、イギリスから購入したロワーボールジョイントキットを使って再度組み付けしました。
ボールジョイントの再組完了です。
ボージョイントキット(黄色丸内)の中で使った部品はロケーティングブッシュ(青矢印),ボールジョイント(ボールスタッド,赤矢印)だけ。 ボールジョイントの黒いゴム製ダストカバー(黄色矢印)は耐候性の信頼性が無く使いませんでした。 ダストカバーは別購入のウレタン製の半透明です。
ダストカバーの固定クリップ(空色矢印)もキットの物は外れた経験があり、1.2mmステンワイヤーで固定しました。
勿論、再組に当たってはボールジョイントの作動状態をチェックしシム調整も行いました。
ナックルスピンドルのロアーボールジョイントをロアーリンクに、ナックルスピンドル上部をアッパーリンクに組み付け、ステアリングのサイドロッドを分解した時に付けたマーキングを頼りに元の位置に組み付けました。
続いて、ロアーリンクを外す事が無くなりトーションバーを外す事は無く、トーションバーの アンカーを元の位置に組み付け、更にマフラーのフロントパイプをマフラーに差し込みエギゾーストマニホールドに組み付けました。
更にフロントハブやブレーキ,ショックアブを組み付けやっとの事ホイールを組み付けました。
再組を始めて三日目、ジャッキアップしウマを外して車を降し、早速近所を一回り、問題なく修理は完了しました。
これで夏の車検に出せると思います。
後7・8年後にまた同じ事をするのかなァ~~~ と思うと憂鬱!
ジャガー Eタイプは不動車が多い様に思いますが、今回の様な事が色々な部位で発生しているからでしょう。 約二千円の部品を交換するのに作業工賃は十万・二十万ではやりきれない!
"とは言えこの車のスタイルの良さ,カッコ良さは、どんなに修理が大変でも捨てがたい!"
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ご苦労様です。基本構造はダブルウィッシュボーン式だと思うんですけど、私の愛車(W111-280SECoupe)とは随分と異なる構造に驚きました。この類の車は、不具合に手を入れるたびに、愛着が増すのは良く分かります。
by HERO (2022-04-25 16:59)
HEROさん
ベンツとはかなり構造が違う様ですね。 イギリス車のノックダウンが日本車を育てた様な物なので、私はEタイプのウイッシュボーンやリアーアクスルの構造にさほど違和感を感じません。
ただ、故障が多く修理の大変な事にはまいります。
by kotobuki1946 (2022-04-29 08:37)