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小刀 (こがたな : 一番小さい日本刀) の製作体験をしました [神奈川県中部地域情報]

 11月9日、アルバイト先の友人に連れられ、足柄にある刀工 小澤師匠の作業場に。

 目的は、日本刀の一種である小刀(こがたな)の製作体験をする為です。

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 足柄の刀工の作業場に到着。 到着した足柄は皆さんご存じの ”足柄山の金太郎” の足柄です。

 小澤師匠の出迎えを受け、工場中へ。
 私の友人は勝手知ったる作業場の感じで畳敷きの休憩所(?)に荷物を置き、さっそくこれから作る小刀の材料を選んでいる。

 つられて、私も提示された6本の中から材料を選ぶ。 小刀の長さは刃の部分が5寸(15㎝)。
私の選んだのは写真の中の一番左。 友人の選んだ小刀は一番右。
(どう言う物がいいのか分からないので、まずは一番厚い物ーーーーボリューム感が出そうなので。) 

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 約6年位前に、定年後に何を趣味として過ごすかを考えていた時に、刀鍛冶に弟子入りする案があった事や、ブログの話等をしていると、刀工の小澤師匠が今造っている刀を見せてくれました。
 (定年後の今は、」刀鍛冶のルートが無かった事や車のレストアもしたかったので、結局今のジャガーとなってしまった。)

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 私達の作る小刀も師匠に見せて頂いた刀も日本古来の方法で、砂鉄から作った ”たまはがね” から何度も熱し、たたき、又熱したたきと鍛えに鍛えた ”日本古来の独特のはがね” で出来ています。


作業場に。

 自動車の工場で働いていた私から見ると暗い! 本当に薄暗い。 (この暗さには意味があった。)

 そして、刀造りを習っている Wさんが、ふいごを吹き、製作中の刀を熱し、素延べ(刀の形をしたはがねの板)作業を開始。

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 作業を見ていて作業場の暗い理由が判明。 はがねの熱し具合を、はがねの色で見分ける為です。
もし、作業場が明るいと熱した ”はがねの赤い色” を正しく判断できません。
(加治屋さんは鉄の温度測定などしない。 鉄の赤い色の程度で作業の適温を判断する。 暗い赤は低温。 明るい赤は中温。 白く輝く様な赤は高温等と)




 私達も作業開始。

 師匠が荒削りしておいてくれた小刀の 棟(むね:刀の刃とは反対の部分)をやすりで仕上げる。

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 続いて、焼入れをすると反り返る為、事前に平地(刃の面の棟側)をハンマーでたたき、逆ぞりさせておく。
(刀が弓なりに反っているのは、焼き入れによるそりが殆どですが、このハンマーでのたたき具合で反りの大きさをコントロールするのでしょう。) 

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 そして、最後のやすりがけは、刃の部分です。

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 やすりがけの終わった後は小刀に ”たがね” で名入れ(自分の名前)ですさが、私は鉄板で長時間練習させて頂きましたが、上手くできず、私の名入れは師匠に入れて頂きました。
次回の挑戦までに上手くなる様にと師匠から ”たがね” をプレゼントして頂きました。


 次に焼き入れですが、刃物は全体に焼き入れするのではなく、本当に切る部分だけを焼き入れて硬くし、ほかの部分は柔らかく折れにくくします。

 その為に、小刀に泥を塗り、塗った部分は柔らかく、刃の部分は塗らず硬く焼き入れします。
泥を塗った小刀。 黒く盛り上がった部分が泥です。 泥は特別の泥で、師匠が用意してくれました。

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 そして、今回の最後の作業、焼き入れです。

 焼き入れは、今回の作業の中では最も重要な工程で、厳密な温度管理が必要です。
と言っても、温度計で測るのではなく、師匠が熱したはがねの赤い色具合いを見て適温かどうかを判断し、ぬるま湯(私が指で確認した感じでは人肌の温度)に一挙に入れ、 ”ジューーー”と急冷します。

 はがねの熱し具合を正しく判断する為に、工場全体を真っ暗にして作業を行います。

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 で、焼き入れ具合は、写真の様に上出来。 左下の白く光っている部分が硬い刃の部分です。

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 この出来あがった小刀を ”研ぎ師”の方にお願いし刃は当然切れる様に、又、玉はがねを鍛錬した時の模様を出していただきます。
 更に柄の部分とさやを取り付けて頂く事になります。
この二つの作業で2ヶ月ぐらいかかるそうで、正月の自分への最高のお年玉になりそうです。


 小澤師匠も私達に手本を見せる為に同じ小刀を作り、親切丁寧に指導して頂き、名入れ以外は全て私の手で、小さいとは言え日本刀を作る事ができました。

 学校で習った鍛造や焼入れを40数年ぶりに体験でき、懐かしく、楽しく伝統の世界に触れた一日でした。

 最後に記念撮影。 今回の参加は、写真のほかカメラマンをしてくれた刀工 雨宮さんの5人です。
 左が居合抜きをしている友人、その右一番小さいのが私、白い作業服を着たニコニコしている方が小澤師匠、一番右が刀造りを習っているWさん(将来の私の姿だったらいいなァ~~~~~)。

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 下記が 刀工 小澤師匠の連絡先です。
 もし時間が許されるなら、ぜひ体験してみてはいかがですか。

 神奈川県足柄上群開成町吉田島 4270番地
 刀工  小澤 茂範師匠
 電話&FAX 0465-82-6445


刀工 小澤茂範 師匠




刀の名称は下記
http://www.choshuya.co.jp/explanation/koshirae.htm

刀の作り方は
http://www6.airnet.ne.jp/ciaonet/katana.htm




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コメント 15

ガンバルおやじ

いい体験をされましたね~
私は刃物の研ぎ方から始めたいです。

by ガンバルおやじ (2008-11-16 20:50) 

ガンバルおやじ

今見たら丁度2,000niceとなっていました。
おめでとうございます。
もしかしたらキリ番には縁のない私が踏まさせていただいたのでしょうか?


by ガンバルおやじ (2008-11-16 20:52) 

OILMAN

こんにちは。
鉄を叩いて鍛え、刀を作るという技術はまさに芸術の世界ですね。
先日日本刀を展示している美術展に行ってきましたが、何百年たっても輝き続ける姿は本当に素晴らしかったです。
by OILMAN (2008-11-16 21:30) 

R-Month

正に日本の伝統技能ですね。
そのうち機会があればやってみたいものです。
by R-Month (2008-11-16 21:54) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

貴重な体験ですね。

日本心・・・・
そんな日本刀作りが体験できて良かったですね。

by BPノスタルジックカーショー (2008-11-17 04:42) 

pace

素敵な体験ですね!
こんな風にして物を作るのは凄いです
心を造っていくのですからね
by pace (2008-11-17 04:55) 

mitu

おはようございます。
こういう体験は素晴らしいと思います。
匠の技ですね。

by mitu (2008-11-17 07:45) 

いとお

一番小さい日本刀ですか!
素敵な体験ですねぇ~!(^^)!
by いとお (2008-11-17 11:43) 

hidens

こうしてコツコツと作られる姿を体感できるっていいですね。
ちゃんと使える道具を創るって、大変な事ですね。
by hidens (2008-11-18 11:15) 

kotobuki1946

 読者のみなさん、今回のブログで、2000 niceになりました。
長い間お付き合い願い、本当にありがとうございます。

ガンバルおやじさん
2000ナイスありがとうございます。

刀を研ぐのは ”研ぎ師”と言う方がおられて、研ぐだけで何年も修行しないと上手く砥げないんです。 それほど研ぐ作業は難しい様です。

OILMANさん
今回の作業は素人でもできる作業ですので、体験できました。
是非、将来難しい作業や根気のいる作業も体験したいと思っています。

R-monthさん
横浜からは遠くないので、是非将来の計画に入れてみてください。

BPノスタルジックカーショーさん
今回の一回では ”日本の心” 迄はとても行きませんが、そこまで到達したい。 出来れば短い ”脇差” に 玉はがねから挑戦したいものです。

paceさん
良い体験でした。 はまりそうです。

mituさん
まだまだですが、将来の挑戦出来ればと本気で思っています。

いとおさん
以前、アメリカ人に日本刀の話をしたら本気で ”鉄兜も切り裂く程切れる剣” と言っていました。 アトランタのアメリカ人はどうですかね。

hidensさん
今回のは当分の間、もったいなくて使わないでしょうが、さらに体験をふやし、幼稚な物を作ったんだと思える様にしたいと思います。
by kotobuki1946 (2008-11-18 18:56) 

Go-Ray

うーん、色々勉強になります。
道具を作るのは楽しく、また誇りをもてることですよね。
鍛造、熱処理、硬さ、粘り、技術を感じる言葉ですね。
僕は今日、仕事で仲間と特殊工具を作ってました(笑)。
by Go-Ray (2008-11-18 23:07) 

ベアトラック

2000 nice! 越え、おめでとうございます。
刀工での珍しい良い経験をされたんですね。とても勉強になりました。
by ベアトラック (2008-11-19 05:57) 

kotobuki1946

Go-Rayさん
金属材料の知識は工業で飯を食う人の原点ですからね。
Go-Rayさんもいろいろ体験して下さい。

べアトラックさん
ありがとうございます。
おもしろかったですよ。 新潟県は高級刃物の産地。 体験教室の様な物があるのでは。
by kotobuki1946 (2008-11-19 06:49) 

てん

おお~。。
うちの祖父さんが鍛冶屋だったんですよ。。
すでに他界していますが、今考えると継ぐつもりで
ちゃんと習えば良かったと後悔しています。
島根の実家(といっても空き家)にはいまでも
鍛冶仕事の部屋が残っています。

鉄を打つ時って気持ちが引き締まりますよね。。
by てん (2008-11-20 21:34) 

kotobuki1946

てんさん
そうだったんですか。 でも今お仕事がいいのかも。
今時、刀を買う人は極限られているし、大半は歴史ある刀が欲しいのでは。 新刀を購入する方は居合抜きをしている方ぐらいでしょう。
懐具合は厳しい様です。 だからこんな体験教室の様な事をするのだとも。
でも、大事な伝統ですから、誰かが引き継いでいってくれないと。
文化庁が政策的に補助や支援をしないといけない様に思います。
by kotobuki1946 (2008-11-22 00:00) 

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