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ジャガー Eタイプのボルト・ナット・小物部品のメッキ [レストア共通事項・用具等]

 今回は、ただただ文字を並べたようで、どうかな? もう少し簡単に出来ないかと考え込んでいましたが、今日のNHKのドラマでは ”大丈夫 それでいい”だったようで、このいやらしい内容で発進です。

 ジャガーEタイプを個人でレストアをしており、ボルト,ナットや小物類はグリーンクロメート処理の亜鉛メッキ(緑色)をして来ましたが、ある方から ”ジャガーのメッキは白で、緑色のメッキではジャガーらしくない” との話があり、自動車用亜鉛メッキについて再度調べてみました。

 Eタイプの生産時は、これ等の部品は、カドミウムメッキ(アルミの様な白色)です。 しかし、今は、カドミウムは公害問題でメッキにはほとんど使われていません。 (カドミウムは、いたいたい病(イタイイタイ病)でも知られる様に、体に蓄積され、体内のカルシウムを溶かし、骨粗しょう症の様な病気になります。)

 従って、今は、本当のオリジナルのメッキでのレストアは出来ないし、イギリスから来る部品もユニクロメート処理(ユニクロ)された亜鉛メッキ品(青白い色)です。
 このユニクロは亜鉛メッキの中では、最下段の試験データーの様に防錆力の弱い部類に入り、 ”長く錆びない車” を目指す私は簡単にユニクロで良しとは行かず、次ぎの様にする事にしました。
 
 * エンジンやサスペンションで要見栄え部品は3価クロームの亜鉛メッキにクリアー塗装追加。
 * その他のボルト,ナット,小物は従来どおり、グリーンクロメート処理の亜鉛メッキで防錆力確保。
 * フロアー下等一般に見えない部分のブラケット類や本来黒色塗装の部品はカチオン塗装。
 (イギリスから来る新部品も再メッキしていますし、これからも上記にそって再メッキを予定。)

 ここで目新しいのは、3価クロームを使用した亜鉛メッキです。 亜鉛メッキの亜鉛は腐食(白錆や黒ずむ)しやすく、その為、クロメート処理という亜鉛メッキの表面にクロームの化合物を作る処理をし、亜鉛を保護します。    従って、ネジ等亜鉛メッキをした部品は、表面のクローム化合物が破壊(腐食?)され、更に亜鉛が腐食して始めて、鉄の赤錆が始まります。

 3価クロームの亜鉛メッキは、表面にクロームの化合物を作る為、従来の6価クロームから3価クロームに変えたものです。 色は黄色みがかった白の為、少しは ”ジャガーらしくない”が解決できます。 6価クロームは毒性が強く、公害の点からヨーロッパ等では使用禁止になりつつあり、日本も近々に。そこで、最近日本の自動車メーカーも3化クロームに変え始めています。
6化クロームについてはこちら   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E4%BE%A1%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A0

 で、亜鉛メッキの防錆力は一般に ”塩水噴霧試験” で確認します。 この試験は小さな部屋に部品等の試験品を入れ、35℃に暖めた5%の塩を含んだ塩水を霧状に噴霧し、錆を促進して確認します。
詳細はこちら http://www.scas.co.jp/electronics/pdf/sn015.pdf#search='塩水噴霧試験'

 亜鉛メッキの防錆力はJIS(日本工業規格)等では規定がなく、メッキ屋さんと購入者の間で取り決める事になっております。 自動車会社良く使われているメッキの厚さ 8ミクロンではおおよそ下記の様な防錆力と思います。

ユニクロ亜鉛メッキ    色 : 青みがかった白 24~50時間で亜鉛の白錆発生、 100~200時間強で鉄の赤錆発生

有色クロメート亜鉛メッキ     色 : 黄色 70~120時間強で白錆発生、 200~500時間程度で鉄錆発生
 3価クロームを使った有色クロメート(黄色みがかった白)は、同程度の防錆力か若干落ちる様です。
 黒色クロメート(黒色)は同程度の防錆力か若干いい様です。

オリーブクロメート亜鉛メッキ   色 : 緑色(色のバラツキがあります)
 150時間強で白錆発生、350~1000時間程度で赤錆発生。

赤錆の出る迄の時間が、例えばオリーブクロメートで 300~1000時間と範囲が広いが、それだけメッキは均一にするのは難しく、試験も又一定の条件で確認するのが非常に難しいものです。 メッキメーカーによっては鉄の赤錆が出る迄の時間をこの1.5倍位に書いているメーカーもありますが・・・・。

尚、カチオン塗装は鉄の赤錆が出る迄に700時間以上持つ様に規定している自動車会社が殆どで、実力は1000時間を優に越える防錆力です。

 


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ガンバルおやじ

1000nice達成おめでとうございます。
今回の内容についてはまったくわからないのでコメントできませんが、公害問題などで造った当時のままとはいかなそうですが、これから長く乗ることを考えれば仕方のないことだと思います。
なかなか思い通りに運んでいないと思われますが、これからも頑張ってください!
by ガンバルおやじ (2008-02-03 06:16) 

pace

オリジナルイメージにこだわると大変なんですね
カタログ等ではモノコックの亜鉛鍍金は無敵のように書かれていますね
by pace (2008-02-03 09:58) 

OILMAN

こんにちは。
クルマの防錆についてはいつも気になってます。
私はこういうことは詳しくないのでとても参考になりました。
by OILMAN (2008-02-03 19:48) 

カリ太

ウチのマヨネーズ号も、カチオン塗装してやりたいです。
(現在、面倒くさがりなアメリカ人が施した、ほんのり塗装)
by カリ太 (2008-02-04 00:51) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

1000niceおめでとうございます。

最近は何でもユニクロが使われてます。
ユニクロがオリジナルだと思っている人も多いですね。
by BPノスタルジックカーショー (2008-02-04 06:58) 

くっさん。

サビは怖いです。
車にとって、
時代考証をしてフルオリジナルにこだわるのも、幸せ。
新しい技術を取り入れて、毎日乗れるコンデションになるもの幸せ。
両方は両立し難いですね。

メッキの話は、勉強になりました。僕は、マイナスに拘るぐらいです。
by くっさん。 (2008-02-04 16:33) 

kotobuki1946

ガンバルおやじさん
1000nice 有難うございます。 皆さんのおかげです。
メッキは危険な薬品を使いますので、昔から公害との戦いの様です。
最近のメッキ屋さんは2代目・3代目の若い方が社長になり、昔とは様
変わりの経営で、水質汚濁等公害に非常に気を使っています。

paceさん
亜鉛メッキ鋼板を使ったボディは、亜鉛メッキの上にカチオン塗装の
下塗りをし、その上に分厚い塗装をしていますので、無敵はオーバー
かもしれませんが確かに限りなく錆びにくいですね。

OILMANさん
参考になれば幸いです。 ただ、優秀な人はこの位の内容をもっと
やさしく、簡単に書くのでしょうが、どうも上手く書けたとは思えないのです。

カリ太さん
残念ながら、カチオン塗装は電気で鉄板に塗料をつけて、乾燥させる
ので、塗装を全て剥さないと出来ないんです。
私の車はフルレストアなので今がチャンスとばかりに、今考えられる
最新の技術を盛り込もうと思っています。 レストアが終わった後では
私も多分出来ないでしょう。

BPノスタルジックカーショーさん
有難うございます。 1000ものniceは皆さんのおかげです。
自動車メーカーは、車をアメリカに輸出する為、ここ30年位は防錆力の
向上をかなりの重要課題にして来ましたが、先日某大手部品メーカー
さんのエンジニアと話していたら、今はともかく ”EUの6価クローム
対応。 その為、防錆力は・・・・だそうです。
ユニクロの様な白いメッキが増えましたよね。

くっさん
確かに昔は防錆力が弱かったので、昔のフルオリジナルでは毎日気を
使わずに乗ることは難しいでしょうね。 で、出来る限り新しい技術で
細かい事には気を使わなくても良い様にだけはしておきたいと思います。
by kotobuki1946 (2008-02-04 22:28) 

うーん、参考になります!
なにしろ仕事柄、「防錆」には気を使わないといけませんからね。
会社の仲間にもこの記事を見るように勧めようっと。
by (2008-02-11 00:41) 

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