SSブログ

都市近郊の農業 と 食料自給率  [日記]

 古い車をレストアしているサラリーマンあがりが何よ突然と思われるでしょうが、一度私の感じている事を書いてみたかったんです。

 千葉の農家育ちの私は、昨年の秋から今年の春迄、神奈川中部の地方青果市場で、荷物の受取業務のアルバイトをしていました。

その中での実態は、 (夏の市場を見ていないので若干偏った見方かも知れませんが。)

 1.農家の方は大変高齢化が進んでおり、若い農業従事者は1割にも満たない状況です。
   ここで言う若い方と言うのは50才前で、20代の農業後継者は記憶にありません。
 2.搬入して来る野菜の量も、定期的に軽トラックに満載と言う方は、1~2割程度です。
   大半の方は軽トラックに半分以下で、おおよそ半分の方は ”こずかい程度” ”孫に何か買って
   あげたいから” の様な野菜の量です。
 3.近隣の青果市場は最近いくつも閉鎖してしまったとの事です。

 と言う事で、神奈川中部は宅地化で農地が減り、小規模化し、しかも農家の方は高齢化が進み、
中には82歳の高齢で、30分もかけて市場に時々野菜を持ち込んで来る方もおりました。
 又、近所を散策していると荒れた農地や耕作している風(収穫しているか疑問)の農地も多く見られます。

 一方、食糧自給率は
オーストラリア 300%強(輸出国)   フランス 約140%(輸出国)  アメリカ 約130%(輸出国)
ドイツ  ほぼ100%  イギリス  約70%(輸入国)
に対し日本の食糧自給率は 約40%です。

 どれ位危機的な状況かは分りませんが、今の農業政策では自給率は下がる一方だと思います。
理由は簡単で、人はいずれ死にます。 上記の高齢化した農業従事者もいずれは亡くなります。
(すいません。 冷徹な表現で。 でも現実ですから。) 
 私の働いていた青果市場で言えば20年後は野菜を搬入してくれる農家は半分から3分の1位に減ります。 

 テレビや新聞の報道でも農家の方の高齢化は深刻だと伝えられており、私が働いていた市場を強引に当てはめると、 20年後の日本の食料自給率は 15%~20% になります。
(この位の自給率になると、御隣の大国は ”ごちゃごちゃ言うなら食料輸出を停止します”等と言い出すのでは。 その時日本の政府がおたおたするだけ?)

 更にもう一方では、一般の人が農地を持ち農業従事者になる事や、正規に青果市場に野菜を搬入する事には高いハードルが有ります。 (最近、家庭菜園をしている方で余った少量の野菜なら販売しても良い様にはなった様ですが。)

 地産地消の強力な推進や、個人であれば誰でも農業に転職出来る様にする事が必要と思います。
 特に都市近郊では、これからリタイヤ組みが増える為、現在の農業従事者が高齢化し耕作できない分を農協等が組織的に、元気なリタイヤ組みに農地を貸し出し(家庭菜園の大型化の様な)、収穫した野菜を誰でも市場に持ち込める様にする事で、多少の食料自給率向上と農地荒廃を防ぐ事が出来るのではないかと思います。

 これ、素人考えでしょうか? 又、私の知識不足でしょうか?


nice!(11)  コメント(12) 
共通テーマ:地域

nice! 11

コメント 12

saclam

今年のお歳暮にとなり畑のネギを使わせていただいたんですが、
箱代+送料の方が高いんですよ!
半年かけて苦労して作られてるんですが、苦労の割りに対価が少なすぎると思いましたね。
それでもお隣の耕作主さんは、ニコニコ耕作されてます。
**美味しいですよ♪

台湾の食料自給率・・・、確か・・日本よりはるかに高いんですよね!
それでいて人口密度は日本並み??だとお思いましたけど・・・・
何が見習うべき部分があるのでは??と思っています。
by saclam (2007-12-14 23:36) 

ガンバルおやじ

日本は資源も食料も他国任せですからね~
アメリカの自給率はもっと高いと思っていました。
by ガンバルおやじ (2007-12-15 05:54) 

pace

楽をしようとあがいていると
だいたいが辛い厳しい所に追い込まれていく
急がば回れじゃないがそろそろ考えても良い頃だろう
「俺は考えてるよ」と多くの日本人は答えるだろう
私も含めて行動には現れない・・・考えていないのと同じ
by pace (2007-12-15 14:02) 

難しいですね…
本当は自分で食べるものぐらい自分で作れないとダメなんでしょうが…
今出来るのは、この問題を認識する事と、食べ物を有難く頂く事ぐらい…

子供の頃、家の手伝いで、ダットラに白菜やほうれん草を積んだ事を思い出しました。
あの時あった畑の下には駅が出来て、毎日通学に使ってました。
by (2007-12-16 00:25) 

くっさん。

自給率の低下は心配ですね。
農業を中途半端に庇護してきたからじゃないでしょうか?
企業が農業をすることがやっと可能になりましたが、農業を
個人農業を庇護したので、そのあいだに競争力がなくなり、魅力もなくなったのでは…?
by くっさん。 (2007-12-16 09:58) 

ccq

今朝の食糧自給率は調味料以外100%でした(笑)。
確かに60歳以下で農業やっている人はそれほどいませんね。
企業参入でもしないと日本はダメなのかな~
by ccq (2007-12-16 12:38) 

OILMAN

こんにちは。
私もこの件は同感してます。
私はビニールハウス向けに燃料を配達することがあるのですが、後継者のいない農家は大体50代以上の方が大半ですね。
でも全く後継者がいないわけでもなく、農業振興政策により若者が農業を始めているところや、後継者が跡を継ぐために戻ってきているところもありますよ。
ただ、農家の方の今一番の心配事は、原油価格高騰による燃料やハウス資材の値上がりに野菜の価格が反映されていないことが問題だと口々に言われます。
by OILMAN (2007-12-16 17:05) 

tyo

はじめまして。

農業の高齢化は深刻な問題ですよね。

「セミプロ農業が日本を救う―成熟化社会を先導する「農」の新たな役割/大澤 信一」という本が面白かったのでお勧めします。

『セミプロ農業』とは、定年(団塊の世代)就農者が行う農業のことで、
農産物流通のダウンサイジングである「直売所」に、セミプロ農業が参入することで年金以外の収入が生まれるという話は、とても魅力的だと思いました。

また、プロ農業とこのセミプロ農業が両輪となって、地域特性とIT技術を活かし、日本の農業の国際競争力を高めていくことが、日本を救うという内容でした。

自分のブログで恐縮ですが、感想を書いています。
http://blog.so-net.ne.jp/a_certain_light/2007-07-06
by tyo (2007-12-16 19:12) 

kotobuki1946

saclamさん
昨年市場で働いていて、暖冬のせいもあり本当に苦労の割りに、対価が
少なすぎると思います。 ですから後継者がいなくなるのだと思います。

ガンバルおやじさん
アメリカの自給率、私も実はもう少し高いかなと思いますたが、多分絶対量
が大きいので、日頃の印象が自給率を見誤っているのだと思います。

paceさん
そろそろ考えるではなく、行動の時期ですね。 私の居た市場でも生き
残りの為、経営者が色々考え、従業員の外部教育や目標管理を始めて
います。 しかし政治的な方策や規制の見直しが必要と思います。

Go-Rayさん
Go-Rayさんの畑はまさに都市化の波に飲まれてしまいましたね。
100mも畑の位置か駅がずれていれば駅前一等地でしたが。 近郊の
専業農業は難しい。

くっさん
”中途半端な庇護”に私も大賛成です。 本当の意味での食料自給の
方策と農業経営はどうすべきかを考えた上で、規制や援助をすべき
だったと思います。
by kotobuki1946 (2007-12-16 21:20) 

kotobuki1946

ccpさん
自給率100%は凄いですね。 2極化の農業が必要かと思います。
一つはおっしゃるとおり、企業などによる大規模農業、もう一つは小規模
で地産地消や労働集約化した高級品等の道だと思います。

OILMANさん
確かに農家は小規模ですので、今回の様に大きな変化がある時、
大企業の様に商品の値上げが出来ない。 今年の初めハウス農家の
方とお話しましたが、作物では燃料代が出ないので、大半のハウス農家は
作付けしなかったとの事でした。

tyoさん
初めまして。 
私の提案はまさにtyoさんの言われている”セミプロ農業”だと思います。
ただ、”年金暮らしの副収入になる” と言うのはばら色過ぎると思います。
特別に先見性のある、才能のある方は別に、一般的には ”余暇を
生かす” や ”ボランテア”的な心掛けで、”収支均衡で良し”と言う位
でないと”セミプロ農業”は続かないと思います。 
saclamさんが書かれている様に対価が少ない。 昨年の三浦大根は
箱代にも満たない時があり、ハウストマトやキュウリは燃料代が出ていない
との事です。
国際競争力の点では”生産者の顔が見える”や”高級化”がキーポイント
かと思います。 アメリカのスーパー等では野菜はともかく安い。 日本の
人件費では太刀打ちできない。
by kotobuki1946 (2007-12-16 22:11) 

tyo

〉”年金暮らしの副収入になる” と言うのはばら色過ぎると思います。
 
 おっしゃるとおりです。
 その収入に依存して生活するというのは、違うと思います。
 あくまでも、やりたい人が、やれるだけ、やりたい時にやり、
 販売する、というレベルで、セミプロ農業は良いのだと思います。
 
 なんといっても「セミプロ」なんですから。
 プロとは違います。それに依存して生活というのとは違います。
 まずは「売れたらちょっと収入が入った。嬉しい!」くらいが、
 続けていくスタイルなのだと思います。

 国際競争力についてですが、野菜ソムリエでおなじみの
 日本ベジタブル&フルーツマイスター協会理事長 福井栄治さんの
 「野菜ソムリエの美味しい経営学」という本に、kotobuki1946さんと
 同じように高級化について触れられていました。

 ただ、「プレミアム」ほど高価ではなく、ちょっと下のもの、
 つまり通常品よりも、ちょっとだけ高価な「スペシャルティ」を
 生産したほうが良いということでした。

 成熟した社会では、確かにそのニーズはありそうですし、
 海外に輸出することも可能になると思います。
 実際に日本の米は食味が良いということで、輸出されているようですし、
 しかも、輸出量を今後増やすようですので、期待できると思います。

 日本の農業に外国人労働者を採用するという話も
 本格化してきているようですね。
 色々と考えてしまいます。
by tyo (2007-12-17 13:09) 

hidens

御訪問ありがとうございました。記事を拝見して、普段自分が気にも留めて無かった事を大変興味深く読ませていただきました。
難しいですね。諸外国のように、土地も少ない、高い日本で、数十年も前からドーナツ化ばかりが維持されてきて、高齢化、ほんとに難しい問題です。
生鮮品も口に出来るのが非常に難しくなるかもしれないのに、時間に追われ、何も気にせず毎日過ごしてる自分だけが居ます。。
by hidens (2007-12-22 23:14) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。