SSブログ

ジャガー Eタイプ,デフの組立て その3 (最終調整 と生産ラインでの組立て) [ EーType パワートレイン]

 
 前回のブログに書いた様に、デフは完成! と思っていた所に、アメリカから突然バックラッシュ調整用シムが到着しました。 
 
 で、湧きあがらない 「やる気」 を無理やり奮い立たせ、最後のバックラッシュを調整を行いました。


 結果、ジャガーの基準の0.10mmに対し0.10~0.13mmとほぼベストの状態にする事が出来ました。 で、この時の歯当りは下写真の様にほとんど変化なく、マァーマァー状態で良しと致しました。

final-2P8120500.JPGfinal-2P8120494.JPG

 で、最後にアウトプットシャフトを組立ててベアリング調整をし、ピニオンギアーのオイルシールを付けて完成ししました。
 勿論、ピニオンプレロード・サイドベアリングのプレロード・アウトプットシャフトのベアリングがた等ジャガーの基準に入れる事も出来ました。

アウトプットシャフト(スタブシャフト)アッセンブリー
P8050574.JPG


 下左がピニオンシールの構成部品で、左からオイル切り(スロワー),オイルシールの端面シール用ガスケット,ピニオンオイルシール。
右写真がピニオンシールの組立て後 (シールの表に出た金属部にはキャリアーに使った残りのペイントを塗りました。)
P8040559.JPGP8040565.JPG



 ここ迄来ると、読者の皆さんは大きな疑問を持っていると思います。
それは、実際の新車のデフ組み付けもこんなに何度も組変え調整しているの? と言う事でしょう。

 新車のデフ組立ては私が担当していた時ですら分解しての再調整は50台~100台に1台あるかないかでした。

 製造ラインでは、下の絵の内、ギアーキャリアーの寸法 ”D” を部品加工後に測定しておき、またベアリングの寸法 ”E” もベアリングメーカーから購入後にラインサイドで測定しておきます。
 ”C” 寸法はリングギアーとピニオンギアーをセットでラッピングし、グリーソン社のテスターで ”最適な歯当り” を探し出し、その寸法を ”C" とします。

 そうする事で、D=C+E+シムの量(厚み) シムの量=D-(C+E) となります。

 実際のラインでは各寸法共基準値からの誤差のみを 1/1000インチ単位の寸法で部品に表示しておき、組み立てラインの方は暗算で上記を計算し、シムをセットして組立てていきます。
これにより、分解組み直しが非常に少なくなり。
 
 で、kotobukiは何故、測定もせずいきなり トライ アンド エラーで4度も組み直したか? と言うと、、”D” 寸法の測定具は非常に高価で購入出来ず、又、ベアリングもプレロードを掛けた状態の ”E” 寸法を測定する道具が無い為です。 ちなみに ”C” 寸法は ピニオンギアーに刻印されています。
 
final drive pinion height_edited-1.jpg


にほんブログ村 車ブログ 名車・クラシックカーへ
にほんブログ村

nice!(24)  コメント(6) 
共通テーマ:自動車

nice! 24

コメント 6

駅員3

デフは駆動系では重要な部分だけあって、とても大変なんですね[ひらめき]
by 駅員3 (2010-08-18 12:06) 

くっさん。

バッチリですね!
kotobuki1946 さんなら、すぐに自分を奮い立たせて、再挑戦されると思っていました(^^)
100分の1mmの世界ですが、キッチリやったという達成感があるのじゃないですか。
こちらまで、スキッとした気持ちになりました。
調整の成功、おめでとうございます!
by くっさん。 (2010-08-19 08:10) 

kotobuki1946

駅員3さん
デフは大変ですが、自分の意思どおりに変化するので面白いですよ。

くっさん
有難うございます。
完成し少したった今は達成感があります。 特に最後のバックラッシュ調整はドンピシャリで予想どおりでした。


by kotobuki1946 (2010-08-21 05:16) 

73seven

はじめまして。
大変勉強になるブログ拝見させて頂いています。(有り難うございます。)
さて、私もしばらく前、デフのバックラッシュ取りで苦労しておりました。ボルグワーナーのアクスルですが、ピニオン側の調整が無く、リングギアのカラー調整のみで行う方式。しかし、ピニオンが奥まった感じでクリアランスが今イチ。(汗)クリアランスの基準が0.12〜0.22mmと大きいのですが、クリアランスは狭い方が良いのでしょうか?


by 73seven (2010-08-22 01:01) 

kotobuki1946

73sevenさん
大変申し訳ございませんが、ワーナーのデフの構造が思い浮かびませんので正しくお答えできるか分りません。
まず、ピニオン側のシムはリングギアーの歯当りの調整用で、バックラッシュ調整を行う時にはいじりません(歯当りが変わるのでいじってはいけません)。 
で、バックラッシュの調整はリングギアーの両脇(デフケースの両脇)にあるシム(又は極大型車の場合はネジ)でバックラッシュを調整します。
ただし、バックラッシュの調整を行うと結果として歯当りが変わるので、歯当りを確認して、歯当りが悪化していれば、そこでもう一度ピニオン側のシムで歯当り調整をして、再度バックラッシュ調整を行う事になると思います。 (今回の記事でもバックラッシュを変えたので歯当りを再確認しています)
クリアランスの基準0.12~0.22mmとありますがファイナルドライブ(リングギアーとピニオン)のバックラッシュの事でしょうか? それにしては基準の範囲が広い様に思いますが? バックラッシュだとすれば一般的には中央値狙いだと思います。
苦労しましたとありますが、デフは他の整備に比べたら何倍も苦労するのが普通ですので、そのつもりで道具を用意したりして取りかかる必要があります。 私は今回、初めていじるギアーで歯当り調整が4回の組み直しで完成したのは上出来だったと思っています。

by kotobuki1946 (2010-08-22 06:46) 

73seven

kotobuki1946さま
ご返事有り難うございます。
細かく説明して頂いて理解が進みました。BWのデフはベアリングキャップの外側に調整用のカラーが付いた物です。ピニオン側にはシムは入れてありませんでした。(設定が無いかも?)外観は鋳物のケースにパイプがささったRV車風のもので、豪州やSAの日産でもサニー等に使っていた様です。
バックラッシュですが、リングギア(クラウン)とピニオンのガタを測定したものです。おっしゃる様にアバウトな基準の様に思います。それにしても4回も調整、さすがです。これからも宜しくお願いします。
by 73seven (2010-08-22 07:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。