ジャガー E タイプ, 最後のカチオン塗装 [レストア共通事項・用具等]
前回、最後の錆取りのレポートをしましたが、その内のラジエーターグリル等のカチオン塗装が出来あがってきました。
旧車はドアーの下等に錆が出て塗装が膨らんでいる車を良く見かけましたが、最近の車は殆ど見かけません。 これはこのカチオン塗装のおかげと言っても言い過ぎではないかも。
下写真がラジエーターグリルのカチオン塗装品です。
と言っても何の変哲もない真っ黒なだけ。
で、カチオン塗装って なァ~に? と思われる方もおられると思います。 簡単に紹介しますと下の様な工程になります。 設備的には下の1~6の工程をコンベアーで結び連続的に塗装し、全ての工程を通過するのに3~4時間かかります。 言わば装置産業による塗装です。
1. まず、鉄やアルミの部品を完全に洗浄します。
(塗装ではこの洗浄が最も重要で、カチオン塗装前の洗浄は4~5工程の洗浄が一般的かも。)
2. 綺麗に洗った部品をリン酸液に浸けて、鉄の表面にリン酸皮膜を作ります。
(このリン酸皮膜は鉄とリンの化合物で、鉄の表面にミクロン単位の結晶がびっしりと出来、
これが微細な表面の凹凸となり、塗料がこの凹凸に絡むようにして密着性を確保します。)
3. 次に、鉄の表面に出来たリン酸皮膜を安定化する為、更にクロームの化合物で覆う
クロメート処理を行います。
4. 部品に高電圧をかけて、塗料のタンクにドブ浸けし、塗料を付着させます。
5. で、部品に高電圧をかけた状態で水洗いし、余分な塗料を洗い流します。
電気で塗料を付着させますので、電圧に応じた塗料の厚み分だけ部品に付着して残り、
余分な塗料は洗い流されてしまいます。 従って塗料の厚みは均一になります。
又、電気で塗料を付着させる為、鉄板の切り口等エッジ部分にもしっかりと塗料が付着します。
6. 最後に170~180℃の乾燥炉で焼き付け乾燥させ完成です。
で、可能な限り 錆び難い E タイプを目指す私は、足回りやボディの下周り,内装部品等多くの黒色塗装品は神奈川県の ”土屋塗装” さんでカチオン塗装をして頂きました。
(土屋塗装さんは新車用の量産部品の会社ですので、錆取りや汚れ落としはしていません。)
土屋塗装さんのホームページ http://www.tsuchiya-ss.co.jp/index.html
又、土屋塗装さんでの塗装費用は、オートバックス等でスプレー塗料を購入し塗装するよりはるかに安く上がったと思います。 防錆力はスプレー塗装の10倍以上長持ちします。
(塩水噴霧試験と言う錆の促進試験では、市販のスプレー塗装は100時間も持たず、カチオン塗装は1000時間位でも錆は出ません。)
又、ボディの下塗りは某自動車ボディメーカーの新車塗装ラインでカチオン塗装をして頂きました。
下写真は既にボディの形状を整える為にパテ塗りを始めていますが、グレーの部分が下塗りのカチオン塗装です。
福島原発にやっとロボットが入った。 それもアメリカ製! 日本のロボット技術はどうしたんだろう? 原発関係では日本の産業界の対応が話題になりませんねェ~? どうしたんだろう?????
2011-04-20 22:33
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コメント(3)
んー、勉強になりました。
やはり「知識だけの人」と、叔父さんのような「たたき上げの人」とは違う。
実体験に裏付けられた説明は、興味深く、アタマに入りますね。
国内メーカーが原発対応に遅れているのは、失敗を恐れる知識だけの経営陣が、
リスクマネジメントという名の下に手を出しかねているからでしょうか?
使命感溢れるエンジニア魂、もっと信用してほしいですよね!
…と、愚痴になってしまいました(苦笑)
あと一息、叔父さんが魂こめたE-Type、完成が楽しみです。
by Go-Ray (2011-04-20 23:59)
私のジープもカチオン塗装したい……
by 駅員3 (2011-04-21 20:49)
駅員3さんのコメント、niceです(^^)とても気持ちが伝わって来ました◎
手作り感がある往年のジャガーですからこそ手間のかけ甲斐があると
いうものですよね。今の日本車で40年後にレストアをする価値がある
クルマは一体何種あるでしょうか・・・??
日本のロボット技術は「研究」が主旨、先進国は実用が主旨なんでしょう
ね◎研究費の桁も段違いの様ですし・・・今回の原発事故を教訓に、
本当の先進国への課題が出来たと思います。
by standard55 (2011-04-22 17:34)