SSブログ

ジャガー Eタイプ,デファレンシャルギアーの組立て その1 [ EーType パワートレイン]

 
 この記事を書いてみたけど、複雑すぎてうまく書けませんでした。 内容も伝わるかどうか分りません。 特別に興味のある方だけお読み頂くのがいいかのも。 


 ギアーキャリアーを天日干し丸3日、厚く塗れてしまった部分を指で押しても指紋が付かなくなった。

 で、デファレンシャルギアーの組立てに入る事にした。

 下の様にデファレンシャルギアー(以下デフ)には2つの機能を持った部品が組み込まれています。
 1つは、車がカーブなどを曲がる時に内側のタイヤと外側のタイヤでは回転半径が異なる為、この差を補正する為のデファレンシャルギアー(差動装置)。
 もう1つは、エンジンの回転速度や力を走る為に適切な速度や力に変えて、しかも回転の方向を90度変え、車の走る方向に変換するファイナルドライブギアー(最終減速機)です。

blogP7180499.jpg



 今回のメンテナンスはファイナルドライブギアーの部分で、デフの部分は最後に機能確認だけしようと思っています。
 
 ファイナルドライブギアーの部分は下写真の様にリングギアーとピニオンギアーの2部品とそれを支えるベアリング、ベアリングを調整する2ヶ所のシムから成り立っています。
又、このファイナルドライブギアーはハイポイドギアーという特殊なギアーで、ハイポイドギアーを加工する機械は世界中でただ1社、アメリカの ”グリーソン社” で作っています。 このギアーは世界中のほぼ全てのフロントエンジン,リアードライブ車に使われており、世界最大,最強の独占企業かも。

 あなたの会社もこんな世界でただ1社の独占企業になりたいでしょう! 頑張ってね!
 
 ハイポイドギアーの説明 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%89
 グリーソン社のアジア法人 http://www.gleason.jp/index.html

blogP8020517.jpg



 で、組立てに入ります。

 まずはギアーキャリアーにピニオンベアリングのアウターレースを圧入(下左)します。
この時、インナー側ベアリングのアウターレースの下にはピニオンギアーの位置を調整するシムを入れておきます。 シムの量は取り合えず、従来使われていた物と同じ厚み分だけ入れる事にしました。
 このシムの厚みの詳細は次回とします。
続いて下右の様にピニオンギアーにインナーベアリングのインナーレースを圧入します。
P7280496.JPG blogP7270482.jpg


 続いて、ピニオンベアリングのプレロード調整用シムをセット(従来品と同じ厚み)したピニオンギアーを、ギアーキャリアーに挿入し、反対側からアウターベアリングのインナーレースとコンパニオンフランジをピニオンギアーにはめ、ピニオンナットを締めつけます。
(プレロードとは、2個の向かい合ったテーパーローラーベアリングを組付ける時に、予め少し負荷をかけておき(きつく向い合せて)、走行中ギアーに力がかかってもギアーがガタつかない様にする物です。)

blogP7280500.jpgblogP8040561.jpg 

 ピニオンナットを規定トルクで締めた後、、下写真の様にコンパニオンフランジに糸を巻きスプリングバカリでコンパニオンフランジの回転トルクを測定し、適切なプレロードかどうかを確認します。 (写真は分解時の物です。)
 で、今回は、ジャガーの規定より重かった為、再度分解し、プレロード調整用シムを抜いたり、入れたりし、ほぼジャガーの規定内にしました。 (ここではデフを組付けた後の確認時ベアリングに大きな負担がかかり、ベアリングが痛むのを防ぐ為の調整です。)
blogP7170512.jpg


 次にデフとリングギアーの組立てです。

 下写真の様に、デフにベアリングを2個圧入し、ファイナルドライブのリングギアーを組付けます。
(一般的なデフはデフとベアリングの間にバックラッシュ調整用シムを入れる事が多いのですが、この車は更に外側にアウトプットシャフトのベアリングが付くので、そこにバックラッシュ用シムを入れます。 バックラッシュとはギアーをかみ合わせる時に少しの遊びを付けますが、この遊びの事を言います。)
P7270492.JPGP7180502.JPG

 で、やっとリングギアーが付いたデフをギアーキャリアーに組込みます。
デフはかなり重いし、手が入らないので、写真の様にベアリングが倒れるのを防ぐ為に水色のボール紙をあて、黄緑色のロープでゆっくりはめ込みました。
P7290505.JPG


 で、下写真の様にアウトプットシャフトのベアリングケースとギアーキャリアーの間にバックラッシュ調整用シムを入れ、ベアリングケースを組付け、サイドベアリングキャップを組付けます。

 結果、ファイナルドライブギアーのバックラッシュが非常に大きく、ジャガーの基準に近づける為、シム調整を3回程行い、歯当りの確認をします。
(歯当りとはギアーが噛合う時に互いのギアーがこすり合う部分(当たっている部分)の事を言います。)
 ギアーのバックラッシュや歯当りはサイドベアリングキャップのボルトの締め付け順序によって変化する事があるので、常に同じ順序で、対角方向(タイヤ交換の時の締付けと同じ)に締付けます。

blogP8080577.jpg


 やっと、組上がり、かたちになりましたが、これは仮組中の仮組です。

 スポーツ選手で言えば、本番の試合所か、練習メニューを決める為の体力測定位の所です。

 これから泥沼のシム調整をする事になりそうです。
 Kotobukiさん頑張ってね!


にほんブログ村 車ブログ 名車・クラシックカーへ
ブログ記事がうまくかけずに、こねくり回している間にブログランキングが落ちてしまいました。 応援のクリックをお願いします。


nice!(27)  コメント(5) 
共通テーマ:自動車

nice! 27

コメント 5

駅員3

こんなに手間隙かけて仕上げた車がどのように仕上がるのか楽しみです[ひらめき]
by 駅員3 (2010-08-10 15:19) 

kanican

デフはエンジンより難しそうですね。
by kanican (2010-08-10 23:06) 

BPノスタルジックカーショー

おはようございます。

ここまで出来ればもうプロです。
最近は業者もデフのOHは嫌がります。
それは良い商売の仕事ではないからです。

by BPノスタルジックカーショー (2010-08-11 06:58) 

くっさん。

こんな作業を見ることは、普通は絶対にないでしょうね。
kotobuki1946 さんのお陰で、貴重な体験が出来ています。

”グリーソン社”って初めて聞く名前ですが、スゴイ会社があるのですね。
by くっさん。 (2010-08-11 08:12) 

OILMAN

こんにちは。
デフ組み込みお疲れ様です。
ロードスターでも結構な大きさのデフなので、ジャガーのものは相当な大きさでしょうね。
ケガをしないように気をつけてください。
by OILMAN (2010-08-12 19:34) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。